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今夜の番組チェック

テレビ朝日「ワイド!スクランブル」
精神障害者差別報道事件

1.事件の概要と経過

朝日放送「ワイド!スクランブル」で・・・
 2000年4月24日,朝日放送「ワイド!スクランブル」において沼津女子高生刺殺事件,千葉の16歳少女刺殺事件が取り上げられました。その際精神科医である町沢静夫氏がコメンテーターとして出演し,容疑者についての分析を行ないました。
 町沢医師は,容疑者を「ボーダーライン(境界性人格障害)」と断定し,そのような人たちの危険性を繰り返し指摘する発言をしました。
 「ボーダーライン(境界性人格障害)」の診断を受け,治療を受けている方々に対して,「犯罪予備軍」のごとき偏見を植え付けた点は非常に問題であり,視聴者への影響力も多大であります。この番組を見ていた当事者,そして当事者の治療を見守っている家族にも大きな心の傷を与えるものだったと思います。  

→その番組の発言を読む

電話により朝日放送側と話し合いを行なう
 こうした番組の問題性,また放映されてしまうことの危険性を伝えるべく即日,電話により抗議をしました。以降数日にわたり電話により朝日放送側と話し合いを行ないました。対応した朝日放送側の担当者は,問題性を全く認識しておらず,むしろ自己弁護に終始しました。

抗議文を送付
 電話での話し合いには限界もありますので,全国朝日放送株式会社情報局長山口誉恭氏に対し5月8日告げで抗議文を送付しました。主なポイントとしては次の通りです。
(1)町沢医師の発言に対する朝日放送の見解。
(2)「ボーダーライン(境界性人格障害)」の患者への謝罪。
(3)社内・社外の番組制作スタッフの精神障害者への正しい理解をどのように進めてきたのか?

回答が届くも・・・   
 こうした抗議と問いかけに対し,5月23日付けで全国朝日放送株式会社情報局長山口誉恭氏より回答がありました。回答の内容は,ご覧になっていただければわかりますが,私たちの問いかけを真摯に受け止めたものとはかけ離れていました。  

→回答書を読む

 そのため再度「抗議文及び公開質問状」を送りました。返ってきた返事は,前回の回答書を繰り返したに等しく,無責任な姿勢が伺えるものでした。

実は以前にもあった・・・「たけしのTVタックル」精神障害者差別発言事件
 実は,今回の「ワイド!スクランブル」に先だって,1996年11月18日放映された「たけしのTVタックル」においてビートたけしと舛添要一が精神障害者を差別する事件がありました。その際には,差別を助長する許されざる表現があったことに対し文書での謝罪と共に精神障害者への正しい理解を内外のスタッフに浸透させるためセミナーの開催,さらに精神障害者を取り上げた番組制作を行なうなどの対策を実行させました。
 しかしながら,今回の主たるスタッフはそうした研修を受けていないことが判明しました。精神障害者に対する正しい理解のない土壌で起こるべくして起きた差別事件といえます。テレビ朝日は,「たけしのTVタックル」の反省を生かしていく気持ちが本当にあったのでしょうか?

2.事件の問題点

・「ボーダーライン(境界性人格障害)」の当事者にレッテルを貼るものです。
 この番組は視聴者に「ボーダーライン(境界性人格障害)」の方々と犯罪との関連を印象付ける効果をもたらしました。容疑者を診察もしていない町沢医師が「ボーダーライン(境界性人格障害)」を語り,犯罪予備軍のごとき断定的な意見をしたことは多くの視聴者に誤まった価値観を植え付けました。

・差別を助長したという認識がまったくありません。
 「ボーダーライン(境界性人格障害)」は精神障害者ではないので精神障害者差別はしていないとテレビ朝日側は言い逃れをしています。そもそも,「ボーダーライン(境界性人格障害)」を精神障害と考えないなら,局として精神科医を専門家として呼びコメントさせる意味が成立しないでしょう。

・専門家として精神科医町沢氏の出演は疑問です。
 専門的な事件の分析を試みたとのことですが,町沢医師のコメントは,適性を欠いていました。番組中,「狂気の仮面をかぶった正気の人」と発言しました。これは町沢医師個人の「ボーダーライン(境界性人格障害)」の患者観でしょうか?それとも番組の制作意図に迎合した姿でしょうか?専門家として招聘されたならば何を語るか,そしてその発言の影響や責任性を考えるべきでしょう。

・その後の番組での視聴者向けのコメントやフォローは,全くなされていません。
 「ボーダーライン(境界性人格障害)」の方々が必ずしも犯罪を犯すものではないこと,の十分な説明を行なえばより丁寧であった」とテレビ朝日側は回答していますが,その後の番組での視聴者向けのコメントやフォローは,全くなされていません。当事者にとって悪いイメージを植え付けるばかりで,正しい姿を報道しないのはマスコミの本当に恐ろしい点です。

・町沢医師の発言は妥当であったと回答。
 再三の私たちの追及に対し,テレビ朝日側は町沢医師の発言は妥当であったとの姿勢を崩していません。自浄能力の欠如が新たな差別を生むことを強く危惧せざるを得ません。

3.「言葉の凶器」を問いつづける。

 私たち京都精神障害者の人権を守る会は,こうした事件に象徴されるように,高度に発達したマスメディアの中で,精神障害者の差別助長につながりかねない危険性が大きくあることを訴えます。
 マスメディアが生活に大きくかかわり,また「専門家」や「タレント」がコメントとして「価値観」をばら撒きます。青少年犯罪がセンセーショナルに取り上げられ,その本質になかなか迫れない中で「感情的な意見」が次々と吐き出されています。
 テレビ局及び関係会社が精神病の治療や回復,地域で生きる精神障害者の姿についての最低限の知識すら持ち合わせていない姿が浮かび上がりました。
 また,マスメディアに犯罪の原因を精神障害者に求めようとする差別と偏見の意識が強く残っていることをあらためて目の当たりにしました。今回の差別事件に露呈している「言葉の凶器」をしっかり持続的に問いつづけていきたいと考えます。

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