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「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案」
に抗議し、廃案を求めます(抗議文)

 私たちは前国会に上程された「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案」(以下、「心神喪失等医療観察法案」と記す)に対して、京都の地で抗議集会、抗議デモ、抗議ハンスト、関係各大臣宛て抗議文送付等の行動をもって廃案を求めました。しかし残念ながら、「心神喪失等医療観察法案」は今臨時国会へ継続審議となりました。そのため、臨時国会において「心神喪失等医療観察法案」の成立が差し迫った状況にあります。私たちは再度、「心神喪失等医療観察法案」に抗議するとともに、強く廃案を要求します。

 この法案の目的は「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者」の再犯の予防とされています。なぜ、精神しょうがい者を対象として、再犯の予防を目的とした法律を作らなければならないのでしょうか。そこには、精神しょうがい者は危険で、恐ろしい人という政府主導の精神しょうがい者に対する人権侵害・差別を助長しようとする意図が明瞭であり、断じて許すことができず、非常な憤りを覚えます。

 第一に、この法案の前提として「再犯の予測が可能である」としていますが、精神科医師を含め多くの人々は再犯の予測は不可能と主張しています。刑法犯やいかなる犯罪においても再犯事例は多く存在します。司法従事者は判決をくだせても再犯を予測することは不可能であり、精神科医療従事者も治療行為はできても再犯の予測はできません。再犯予測を目的にするかぎり、本人の治療より、社会防衛的な隔離拘禁が主要件となり、指定入院医療施設での人権を無視した無期限の拘禁が常習化すると予想されます。

 第二に、この法案の対象行為が、放火、強制わいせつ、強姦、殺人、強盗及び傷害とその未遂等と、非常に広範囲の行為を対象としています。これらすべての行為が果たして「重大な他害行為」といえるのでしょうか。危険とみなす精神しょうがい者に大きなネットを張り巡らして、社会防衛を目的として隔離拘禁を意図した法案であることは明瞭です。その上、処遇決定の課程においても、弁護人に刑事訴訟法によって認められている弁護権の行使が保証されていないことは、著しい人権侵害であります。当然、冤罪が多発することとなり、断じて容認できません。

 これまでも精神しょうがい者がどれほど長く精神病院に隔離・管理されてきたことでしょう。どれほど多くの精神しょうがい者が病院内で命と人権を奪われてきたことでしょう。私たちはその一人一人の命の悲惨な歴史を決して忘れません。法案成立がなされれば、私たちが京都の地において、長年にわたって続けてきた「精神しょうがい者の人たちとも地域で共に生きる」実践が途方もなく後退することになるでしょう。
 臨時国会における「心神喪失等医療観察法案」の取り扱いについて、十分な審議をなす時間が保障されているとは思えませんが、政府各関係省庁、一部議員等により水面下で修正案の検討がなされつつあり、妥協案が計れれば、十分な審議もなさずに法案を可決してしまうという非民主的な政治手法が画策されているとも伝えられています。私たちは「心神喪失等医療観察法案」のいかなる修正も許さず、非民主的な政治手法も容認しません。「心神喪失等医療観察法案」の廃案を強く要求します。



 2002年12月 1日 

京都精神しょうがい者の人権を守る会





「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案」
に抗議し、廃案を求めます(抗議文)

賛同者
安達太郎、五十嵐 守、井桁 光、糸井国雄、稲谷 隆、岩城澄子、
梅田順士、宇田 隆、宇山 進、江端一起、大国輝美、大嶋 勝、
大島涼子、大杉光子、太田正人、大山修司、小豆真人、柏木正行、
嘉藤寛子、木村 勲、久郷克己、黒多 健、小山通子、坂根輝吉、
澤田尚美、佐原英一、島サヨミ、末廣章人、杉本節子、関 雅人、
関川直子、武 公子、武本佳子、多芸正之、田中孝征、田中 勝、
玉井勝也、団野利男、千葉宣義、銅銀正美、中矢厚子、中山有希子、
西村佳代子、西本洋子、樋口 進、平田 義、廣野智子、藤原一男、
藤村治奈、古谷豪規、古谷泰子、本多 肇、馬庭京子、丸山 恵、
三上早苗、三吉 明、峰 由子、宮崎達雄、宮本真希子、村山起久子、
恵 大一郎、森拓平、山川裕久、渡辺建治、渡部達也、
(12月1日現在65名)

賛同団体
愛隣館研修センター、愛隣デイサービスセンター、錦林教会、
暮らしの環境・研究室、『週刊金曜日』京の読者会、
障がい者生活支援センター『あいりん』、
精神障害者作業所『ブルーリボン』、前進友の会、
西小倉めぐみ研修センター、日本キリスト教団京都教区宣教部、
日本キリスト教団甲東教会、日本基督教団鈴蘭台教会、
日本キリスト教団千葉教会社会部、日本キリスト教団醍醐教会、
日本基督教団西小倉めぐみ教会、
日本基督教団西宮北口西伝道所障害児・者情報センター、
日本基督教団兵庫教区各種伝道委員会、
日本基督教団兵庫教区障がい者差別問題委員会、
日本キリスト教団向島伝道所、バリアフリー・ネットワーク、
ほっとハウス、べてるの家、めぐみホーム、
向島障がい者地域生活支援センター『遊隣』、室町教会、
(12月1日現在25団体)


廃案賛同署名者数(12月1日現在)746名 実署名は、小泉首相に送付