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2001年6月13日(水)発表の声明は次の通りです。

緊急アピール

大阪池田小学校児童殺傷事件を機とした
小泉首相の「保安処分」再検討発言に抗議する!

マスコミ、精神保健福祉関係団体・機関、人権侵害に関わる諸団体 各位

 私たちは、京都精神障害者の人権を守る会(以下、守る会と表記)と申します。
 この度、大阪府池田市の池田小学校で児童ら23人が殺傷されるという痛ましい事件が発生しました。日本においては例を見ない残虐な犯行に日本国中が驚き、そして怒りを抱きました。私たちも、このような残虐な犯行を決して容認できません。亡くなられた皆さんに対し心より哀悼の意を表明します。
 事件が大きな反響を生み、マスコミが度重なる報道を続け、政府の対応など時々刻々と状況が進んでいます。そうした中、私たち守る会はいくつかの疑念と危惧を抱いています。
 ひとつは、自供の中で明らかになった宅間容疑者が「精神科医院へかかっていた」と報道されたことです。これが、過剰に報道されるあまり、「精神障害者は犯罪予備軍」という誤った認識が一般市民に対して助長される危険性があるということです。これまで、事件が起こり、容疑者の精神科医院への通院歴があればマスコミはまずそのことを最初にふれました。事件の真相を吟味せず、容疑者のプライベートな一面のみを重大事項のように報道する姿勢に対して私たちは批判を続け、ようやくにしてあからさまな報道姿勢は押さえられつつあると思われるようになっていました。しかし、今回の事件を機に振り出しに戻ってしまう危険性があると思わざるをえません。治療を続けながらも、地域でより良く生きようとする精神障害者たちが、一層肩身の狭い思いを抱くことになるのを大変危惧しています。
 ふたつめは、小泉首相が「保安処分」も含めた検討を指示したことです。「保安処分」は、精神障害者で自傷他害の恐れのあるものを法的に拘束しようとするものです。「精神障害者を犯罪予備軍として社会防衛のために隔離収容するものであると同時に極端な人権侵害である」として、当事者団体、家族会、精神医療従事者等の粘り強い反対運動が続けられてきました。今回この事件を機に、小泉首相は小泉人気に乗じて国民の不安を煽り「タブーに挑んででも安心を」という流れを作り上げようとしています。「保安処分」が国会審議に上程される危険が再び現実のものになりつつあるのです。
 私たち守る会は、精神障害者の人権を守ると同時に、精神障害者が不当な偏見や差別を受けることなく、人としての尊厳を保ち、標準的な市民生活を送ることのできる地域づくりを市民と当事者が主体となり持続的に行うことを任務として活動している市民団体です。多くの精神障害者と接する機会を持ってきましたが、彼らのすべてと言えるほど多くの人々は、犯罪を犯したり示唆するような人はいず、皆さん一様に治療を受けながら、地道に暮らされています。むしろ、偏見もいまだ残る中、生活保護と障害年金というわずかな生活保障を受けながら、倹約の日々を送っているのです。私たちの知る精神障害者の姿と報道の中でイメージ作られる「危険で不可解な人々」との間のギャップに大きな戸惑いを憶えます。
 今回の事件のような突出した事件から、私たちは「保安処分」という法改悪の機運が高まってしまうことを危惧します。精神障害者にたずさわるものは、精神障害者へのより良い理解の推進を目指して、日々努力を重ねてきました。それを決して無駄にしないためにも、今こそ粘り強く精神障害者を擁護する姿勢を保ち続けねばならないことを皆さまに訴えると同時に、精神障害者に対する正しい理解をさらに進めていただけるよう求めていきたいと思います。

2001年6月13日(水)

京都精神障害者の人権を守る会  代表 多芸 正之

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