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京都精神障害者の人権を守る会 設立趣意書

 1993年(平成5)障害者基本法により、精神障害者は、福祉施策の対象に位置づけられました。1995年(平成7)障害者プランにおいては、「社会的入院」が問題視され、受け皿が整えば地域生活が可能な精神障害者が多数いるとの判断のもと数値目標を設定した計画が打ち立てられました。それにともない、地方自治体の障害者プランが次々と打ち立てられました。そうした障害者プランをもとに、各地で精神障害者の福祉がすすめられています。

 これまでもっとも立ち遅れているといわれてきた精神障害者福祉分野ですが、共同作業所、授産施設や生活支援センターなど社会資源は増えて来ています。とりわけ一番身近で精神障害者にとって利用しやすい共同作業所は、多様な取り組みがなされ非常に重要な役割を果たしています。しかしながら、そのサービスの量と質はまだまだ満足のいくものであるとはいえません。一方、精神医療においては、人権意識また顧客意識が十分浸透しておらず、それをあらわすようにいまだ大きな人権侵害事件が告発され続けています。精神障害者が生活する地域社会では、いまだに理解不足が続いており、偏見や差別が大きく残されています。
 従来、厚生省や医療機関がその専門主義を盾に精神障害者を処遇してきた歴史があります。それに対抗する形で、当事者運動、共同作業所、市民運動などが新しい価値観創出を行ってきました。それらが果たしている役割は非常に大きいといえます。しかしながら今同時に進行しているのは、病院の「地域化」です。医療法人が、社会復帰施設をつくることが増えています。また、系列で共同作業所を持つ場合も見受けられます。援護寮やグループホーム等の社会復帰施設の約5割が医療法人によるものであるという調査結果もあります。 行政や医療を中心とした精神保健福祉サービスから当事者や市民を中心としたそれへと転換が進められ、ノーマライゼーションの実質化を手探りし始めた矢先、病院の「地域化」が先行しており、地域精神保健福祉サービスの中心的役割を担ってしまうことに大きな危機感を感ぜずにはいられません。私たちは、精神医療は医療分野をのみ担うことで適正化を計るべきであり、福祉は担うべきではないと考えます。当事者・市民中心の福祉へと実質化を図らねばならないという課題をひしひしと感じるのです。

 こうした思いをさらに強く抱かせる事件が起きました。2000年8月、京都市の精神保健福祉の担当課長が、精神障害者に対する差別発言を行ったのです。その内容は、精神障害者は、「判断力に障害がある」ので、「共同作業所長は、利用者の声を聞いてはいけない」、「精神保健福祉は、医療なんですよ」というものでした。その考え方は、障害者基本法の成立から、障害者プラン、そして、各地方自治体の障害者プランづくりと、官民が侃々諤々と議論してきたこの数年間の流れを一顧だにしない驚くべき発言であります。従来の精神医療のあり方が問われ、変革を求められると同時に、こんどは精神障害者が地域のなかでいかに生活していくかというまさに福祉のあり方が課題として焦点化されているときにあって、まさに逆流する考え方です。私たちは、この差別発言に対していち早く追及の行動を起こしました。しかしながら、京都市行政は、今もなお誠実に対応しようとせず、「見解の相違」としながら組織的に言い逃れようとしています。

 また、2000年4月のテレビ朝日「ワイド!スクランブル」におけるボーダーラインに対する差別偏見を助長する差別報道事件など、センセーショナルな「事件」を精神障害者とからめて、庶民の恐怖心を不必要にあおり、溝を拡大する問題が続いています。私たちは、この事件に対し、多くの当事者や団体とともに糾弾を続けてきています。しかし、大企業であるテレビ朝日は、反省の姿勢を見せようともしていません。

 こうした逆境の多くある中今こそ、差別偏見に抗い、精神障害者の人権と生活を守り、よりよい関係性づくりの提言や実践を行いながら、地域社会の変革をすすめる必要があると考えます。その主体は、これまでの行政や精神医療中心から脱却し、当事者・市民が担っていくべきです。精神障害者、精神保健福祉従事者、精神医療従事者、そして市民がそれぞれが連帯し、知恵を出し合い、実際に行動することが求められているのです。

 これまで、地域の共同性の崩壊が指摘されもしてきました。しかしながら、地域の共同性の豊かなありようとして、精神障害者を受け止め、共に生きる人間関係とその価値を示し、浸透させることは大切です。このことを追求し続けることが、私たちの使命であると強く認識しています。

目 的
 1.差別偏見や人権侵害等社会的不利益を受けた精神障害者の人権擁護をはかる。
 2.精神障害者が不当な偏見や差別を受けることなく、人としての尊厳を保ち、
標準的な市民生活をおくることのできる地域づくりを市民と当事者が主体となり
持続的に行う。

事 業
 1.精神障害者に対する人権侵害事案や差別事案の調査と解決。
 2.電話及び手紙による相談活動。
 3.提言活動他目的を達成するための諸活動。

名称と所在地
 京都精神障害者の人権を守る会   代表 多芸 正之
 京都市伏見区銀座1丁目360番地 めぐみホーム
 TEL/FAX075-605-4210

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